
【番外編】香川県の郷土料理「まんばのけんちゃん」って、どんな料理?

今回は番外編です。
県外の方は「まんばのけんちゃんという名前だけを聞くと、一体何だろうと思ってしまいますよね。
実は「まんばのけんちゃん」は香川県の郷土料理で、簡単に言いますと、高菜の煮浸しです。
今回は高松市内で香川の郷土料理と瀬戸内海の旬魚、地酒を提供する「遊庵」さんに実際に作って頂きました。
讃岐の郷土料理「まんばのけんちゃん」に迫ります。
【番外編】香川県の郷土料理「まんばのけんちゃん」って、どんな料理?

※高松市内「瀬戸内の小魚と讃岐の地酒処 遊庵]の店主立石さんにいろいろと教えて頂きました。
→【番外編】讃岐の地酒マスターがおいしい地酒の楽しみ方教えます。
●まんばのけんちゃんとは。
「まんば」は高菜の一種です。
「まんば」を食べるのは、全国的に見ても香川県くらいだと思います。
けんちゃんというのは、しっぽく料理の「けんちん」が訛って、「けんちゃん」になったそうです。
分かりやすく言うと、高菜の煮浸しのイメージが近いのではないでしょうか。
「いりこ」を加えて、料理するとさらに美味しくなります。
寒くなると「まんば」そのものの甘みも増すので、この時期にはぴったりの料理ですね。
当店では、お客様に付出でご提供してます。
地元の食材や素材のみで「まんばのけんちゃん」を作っています。
県外のお客様にはネーミングも含めて、人気があります。
中には、おかわりしてくださるお客様もいらっしゃいますので、嬉しい限りです。

※青々とした「まんば」。私の実家で食卓に出た時は葉っぱが黒っぽい覚えがありましたが…。「まんば」が鮮やかな緑色になるコツも教えて頂きました。
●地元の食材、素材だけでつくる「まんばのけんちゃん」。まんばのきれいな緑色が出るコツは。
コツはしっかりと、まんばのアク抜きをすることです。
アク抜きは前日からまんばを漬け込むことでアクが抜けて、色味がきれいになります。

※アク抜き後の水。写真は数回アク抜きを繰り返した後の水。これでもだいぶ色は薄くなったそうです。
●アク抜き後の水はすごい色ですね。
ご家庭ではどうしても、時間がないのでアク抜きする時間が短くなると思います。
実際にうちの実家でも、まんばのけんちゃんが食卓に並んだ時も、どちらかというと紫っぽい色でしたから。
主婦の皆さんは忙しいから、時間がないので、しょうがないですよね。
ウチはプロですから、手抜きは出来ません。
前日からまんばを漬け込んで、当日もアク抜きをしっかりと繰り返します。
●まんば以外に入れるものは。
色々あると思いますが、当店での作り方をお伝えします。
あくまで当店の作り方ですが、まんばに揚げ豆腐、それにソフト豆腐といりこです。
ソフト豆腐というのは、香川県だけの物のようです。
絹ごし豆腐と木綿豆腐の中間の豆腐です。
ちなみに当店は食材はすべて、香川県産のものしかつくりませんし、調味料等もすべて県産物なんです。

※油揚げは高松市岡本町の「とうふ屋うかわ」さんの手揚げ豆腐です。

※豆腐も同じく「とうふ屋 うかわ」さんのもの。ソフト豆腐を普通にスーパー等で打っているのは香川県くらいだそうです。絶妙な食感はソフト豆腐ならではです。

※伊吹島産で話題の「オリーブいりこ」。県産オリーブと一緒に煮上げすることで臭みがなくなるそうです。

※オリーブいりこの頭と内臓を取り除いたイリコを濾(こ)し器で濾します。粉末状のイリコ(左側)とやや粗めのイリコ(右側)が出来ます。
●調理のコツは。
とにかく手早くすることです。
特に炒め過ぎないこと、火を入れすぎないことですね。
火が通りすぎると、まんばの色も黒っぽくなってきますので注意してくださいね。

※各々材料を加えて、手早く炒めます。

※砂糖と日本酒に醤油も加えます。ここからはかなり手早かったです。

※香川県民はおなじみの「ソフト豆腐」。これをカットして、粗目に潰しておきます。ちなみに香川県の西部地域の西讃地方では上記のような形から「ひゃっかの雪花(せっか)」と言われます。「ひやっか」は西讃地域ではでまんばをさします。崩した豆腐を雪に見立てているそうですよ。

※軽く炒めた後にいりこ出汁を加えます。いりこ出汁を加えることで、出汁の香りと味が素材に沁みていきます。

※しばらく煮込むとご覧のような状態に。炒め過ぎないこと、火を入れすぎないことで、「まんば」は鮮やかな緑色を保たれます。

※立石さん直伝の美味しく作るためのポイントは…かどや醤油㈱さんの「ごま油」。良質のごまを生のまま抽出した「純白ごま油」を基本に。仕上げに良質のごまを焙煎させた「純正ごま油」を和えることで香ばしさが一層引き立つそうですよ。プロの技ですね。
●讃岐の郷土料理「まんばのけんちゃん」完成。
仕上げに粗く濾(こ)したいりこをかけて、完成です。
熱を通す時間を限りなく短くしますと、まんばの葉っぱと茎部分の食感の違いが楽しんでいただけます。
加えて、いりことごま油のやさしい香りが食欲を引き立ててくれるのではないでしょうか。

※きれいな緑色をした「まんばのけんちゃん」。この時期は地酒を楽しむ入り口として、遊庵さんでは付出として人気です。

※鮮やかな緑色のまんば。粗く濾したいりことシャキシャキのまんばをお楽しみください。

※ちなみに遊庵さんは香川県にあるすべての酒蔵と懇意にされています。市場に出回らない地酒も楽しむことが出来、県外から来られた方には特に人気のお店です。店主立石さんにおまかせをお願いすると季節の素材に合った最高の調理方法で仕上げてくれますよ。地酒に合う地元産食材を使った料理を香川の思い出にぜひ。
瀬戸内の小魚と讃岐の地酒処 「遊庵」 | |
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住所 | 〒760-0045 香川県高松市古馬場町2番地5 |
電話番号 | 087-811-9034 |
営業時間 | 18:00~翌1:00(lo 24:00) ※ 席数が少ないため、ご来店される場合はご予約をおすすめします。 ※品切れ等あった場合は24:00前でも閉店する場合があります。 |
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この記事を書いた人
アユム・スカシヒット(株)一誠社http://isseisha.co.jp/
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