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讃岐うどん CLAPクラップ

【番外編】讃岐の地酒マスターがおいしい地酒の楽しみ方教えます。

2018.03.27

今回は番外編です。

日本酒好きな方向けの番外コンテンツです。

高松市内にある、地酒とさぬきの郷土料理の店「遊庵」立石さんに取材しました。

 

 

【番外編】観光客の方必見です。讃岐の地酒マスターがおいしい地酒の楽しみ方教えます。

●「瀬戸内の小魚と讃岐の地酒処 遊庵」と店主の立石さんを取材。

「瀬戸内の小魚と讃岐の地酒処 遊庵」

瀬戸内の旬魚や小魚と地酒のみでお客様をもてなす。

ちなみにメニューに骨付鳥やフライドポテト等、

いわゆる普通の居酒屋メニューの類はありません。

香川の郷土料理や地酒にふれて頂くと同時にお客様の地元の郷土食等と比較しながら、

四季折々の讃岐の味と酒を目と鼻と耳で楽しんで頂きたい、そんな一本筋の通ったお店です。

※手には地酒「凱陣 純米大吟醸 燕石」を持っている店主の立石さん。幕末に琴平で高杉晋作をかくまった「日柳燕石」から由来している凱陣の最高峰です。立石さんは親切に色々な讃岐にまつわる郷土話も教えて頂けますよ。

 

店主の立石さんについて

店主の立石さんはS52年生まれの香川県出身。

高校卒業後、京都や神戸の京料理店で修行後、自身でお店を出す。

自ら地元酒蔵に赴き、熱意ある行動は杜氏(とうじ)からも信頼され、各々酒蔵から貴重な地酒を提供される。

最近では自分で酒米を植えに行ったり、地酒イベントを開催したりと、地酒の普及に大変積極的です。※遊庵さんの店舗情報は当記事の最下部にあります。

 



 

●香川県の地酒の特徴は。

あくまで自分の主観になりますが。

香川県は甘辛い味付けを好む傾向にあります。

地酒も同様に甘口から旨口といわれるものが主流です。

料理とお酒を楽しむための食中酒が多いですね。

食事中に楽しむお酒ということです。

香川県は淡泊でクセのない瀬戸内海の魚がメインですね。

必然的にお米の旨味のあるお酒が好まれたんでしょうね。

食中酒ということで、お米の味や旨味がしっかりとしたお酒が必要とされます。

品種で言いますと「オオセト」はお米の旨味がしっかりとしていますね。

例外もありますが…

一般的には気温が温かい地域ほど甘口から旨口に。

寒い地域になるほど、辛口で淡麗になります。

※香川県の人気地酒の「凱陣」も遊庵さんではなんとタンク別、仕込み順別で揃えています。

 

 

●必ず「味」には理由があるんですね。勉強になります。

郷土の観点で言います…

香川県は昔から「讃岐三白」と言われるものがあります。

「砂糖」「塩」「綿」です。

「砂糖」は江戸中期には全国の6割の製造量を誇ったそうです。

それが、現在は「和三盆」という高級な砂糖で残っていますね。

香川県ではお雑煮にアンコが入っていますよね。

それにも逸話があります。

香川県は全国でも有数の砂糖の出荷量を誇っていました。

砂糖は大変に貴重で実際に作っている、農民の方々も食べることは出来ませんでした。

そこで年に一度、元旦のお雑煮にこっそりと入れて…というのがはじまりです。

砂糖を使ったアンコを餅の中に入れて、お雑煮に隠して食べる。

めでたい元旦だけでも、甘いものを食べるように庶民の知恵ですよね(笑)。

「塩」は坂出や宇多津で歴史的にも全国で一番の出荷量があった時期もあります。

「綿」は現在でも、ちょうさ祭りの神輿(みこし)や布団の綿等にも使われています。

細かく話ますとキリがありませんので、続きはお店で(笑)。

 

 

●地酒と郷土料理一品のおすすめは。

最初の地酒は「國重」の特別純米酒です。

自分の中で「國重」は讃岐の地酒のスタンダードです。

品種が「オオセト」というのですが、「オオセト」は一般食用米で酒用のお米ではなかったんです。

食用米で日本酒をつくるのが、技術的に大変難しいのですが、

それを綾菊酒造の杜氏(現在は名誉杜氏)の国重杜氏が苦心の末につくられました。

現在では、当たり前のように「オオセト」は多くの地酒で使われています。

まさに讃岐の地酒の礎ですね。

さらに国重杜氏は全国新酒鑑評会で13年連続を含む20回の金賞を受賞します。

現代の名工にも選ばれています。

そんな「國重」には、香川県の郷土料理の「しょうゆ豆」をご一緒にオススメします。

※最初は讃岐地酒のスタンダード「國重」と「しょうゆ豆」。まさにThis is KAGAWAですね。

 

 

「國重」と「しょうゆ豆」

一般的に香川県のしょうゆ豆はかなり甘めの味付けで知られています。

万人受けする味付けですね。

昔は各家庭でつくられたしょうゆ豆は醤油がしっかりと効いて、

しょっぱかったそうですよ。

当店の「しょうゆ豆」も昔ながらの醤油の風味が全面に出ています。

穏やかで柔らかな國重と醤油の風味は大変相性が良いと思います。

※讃岐の代表的な郷土食「しょうゆ豆」。ソラマメの品種は粒の大きい「さぬき長莢」(※時期によります)。上にのせている唐辛子は「香川本鷹」。

※写真は「讃岐本鷹」。大きさは7~8cmもあり、大変珍しい唐辛子だそうです。現在は瀬戸内海のいくつかの島で栽培されているそうです。

 

 

●地酒との相性について

國重としょうゆ豆の認知度も考慮して、

一番良い取り合わせなのでは…と思います。

綾菊酒造の国重杜氏の讃岐地酒の功績は本当に素晴らしいです。

もっともポピュラーな讃岐の郷土料理「しょうゆ豆」と

讃岐の地酒のスタンダード國重のベストマッチをオススメします。

 

 

●2品目目は。

当店でもよく出す「葉ゴボウの炒め煮」です。

葉ゴボウは若ゴボウとも言いますね。

食感と独特の香りが感じられる、

県外の方にも人気メニューのひとつです。

※讃岐の郷土料理「葉ゴボウの炒め煮」。若ゴボウに金時人参(時期限定)と香川でいう天ぷら(魚の練りものを油で揚げたもの)をゴマ油でサッと炒めて煮ています。

※葉ゴボウは若ゴボウと言われます。ゴボウは根菜ですが、写真のように葉ゴボウは根部分が非常に短いです。若々しく、フレッシュな歯ごたえとほのかな苦味が特徴です。

※ごま油は「かどやの純白ごま油」を使用しています。通常のごま油より、香りも薄く、バランスが良いのが特徴です。透明なごま油です。

 

 

●「葉ゴボウの炒め煮」にあわせる地酒は。

川鶴さんの純米限定生原酒です。

こちらの地酒は「さぬきよいまい」という品種を使っています。

「さぬきよいまい」は「オオセト」と「山田錦」を

交配させて誕生した香川県オリジナルの酒米です。

新酒なので、若い葉ゴボウと川鶴さんの純米限定生原酒という

若いもの同士の組み合わせが互いの欠点をちょうど補い合います。

こちらの新酒はスッキリしながらも、旨味と後口に十分なキレがあります。

後口のキレの良さが葉ゴボウの苦味も相殺して、良い相乗効果を生み出しますよ。

※川鶴さんの純米生原酒と葉ゴボウの炒め煮。渋すぎる取り合わせです。

※葉ゴボウに讃岐の名産「金時ニンジン(期間限定)」に讃岐の天ぷら(魚の練りものを揚げたもの)と香川の郷土食ばかりです。

 

 

●最後のおすすめの地酒×郷土料理は。

最後の料理は「たけのこの天ぷら」です。

香川県の「たけのこの天ぷら」は油で揚げる前に一度、甘めの味付けで炊きます。

炊くことでたけのこ自体に味がしっかりついて、天つゆもつけずに食べられます。

讃岐うどんのトッピングでもよく見かける郷土料理のひとつです。

※遊庵さんの天ぷらに使う小麦粉は「さぬきの夢」と米粉「おいでまい」をブレンドして使っています。米粉を使用することで吸油が少なく、ヘルシーでもっちりと天ぷらが仕上がります。

※香川の郷土料理「たけのこの天ぷら」。なにもつけずに、たけのこの食感と風味、讃岐地方特有の甘辛い味をお楽しみください。

 

 

●「たけのこの天ぷら」にあう地酒は。

金陵さんのイニシャルAという地酒はいかがでしょうか。

限定品ですが。

イニシャルAはフルーティーで甘みのある地酒です。

たけのこ自体は後口に多少の苦味が残ります。

その苦味をイニシャルAの可憐なフルーティさと爽やかな甘みで中和されます。

ちなみにイニシャルAは高品質な一当米

「あきげしき(主に熊本県と香川県で栽培している品種で多度津産)」で作っています。

※イニシャルAはこれまでの日本酒と比較しても、ラベルデザインもおしゃれです。高級ワインのような印象を受けますね。

※裏面には日本酒に珍しいイニシャルAの解説が事細かく、生産者様の顔と一緒に明記されており、飲みごたえと読み応えのある地酒です(笑)。

※取材時に食べさせて頂いた「たけのこの天ぷら」はサクサクです。文句なしの味でした。ごちそうさまでした。

 

 

●最後にひと言お願いします。

自分もまだまだ勉強中です。

もっともっと讃岐の食文化を外に向けて発信して行きたいと思います。

※遊庵さんでは瀬戸内海の旬魚介をはじめ、瀬戸内でとれる小魚等、香川産の食材やメニューが楽しめます。

 



 

瀬戸内の小魚と讃岐の地酒処 「遊庵」
住所 〒760-0045 香川県高松市古馬場町2番地5
電話番号 087-811-9034
営業時間 18:00~翌1:00(lo 24:00) ※ 席数が少ないため、ご来店される場合はご予約をおすすめします。 ※品切れ等あった場合は24:00前でも閉店する場合があります。
公式サイト https://www.facebook.com/yuan.0123/

この記事を書いた人

アユム・スカシヒット(株)一誠社http://isseisha.co.jp/

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