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高松市太田下町「讃岐うどん 手打麺や大島」〜店主大島さんのうどんづくりと葛藤~

2022.03.11

老舗のうどん店「馬渕製麺所」さんの後を引き継ぎ、再スタートした「手打麺や大島」さん。

高松市太田下町にある「大島うどん」の大島武士さんが後を継いでOPEN。

人気店を引き継いだ葛藤とうどんづくりのこだわりを取材させて頂きました。

高松市太田下町「讃岐うどん 手打麺や大島」〜店主大島さんのうどんづくりと葛藤~

ーー開業について。

開業については、元々はここで(※高松市太田下町)営業されておりました「馬渕製麺所」さんを引き継がせて頂いたんですよ。

「馬渕製麺所」は大将が長きにわたり、懸命にうどんづくりを続けた結果、ご近所さんをはじめ、多くの讃岐うどんファンに愛された名店でした。

大将が年齢的にそろそろ引退ということで、店を閉めるという話になりました。

それをたまたま、お知り合いの方から、

「馬渕の大将やめるみたいなんやって。大島さん、後を引き継いでやってみたら?」

というお誘いがきっかけだったんです。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※「毎日来てくださる常連さんには本当に感謝しています」と店主の大島さん。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※「大島」さんのシンプルな「かけうどん」は毎日食べられるスタンダードな讃岐うどんで客足が絶えません。

 

 

 

ーー「馬渕製麺所」を引き継ぐことに。

自分の実家がうどん屋で「大島うどん」として家業でうどん屋をやっていまして。

自分も高校卒業から、実家の「大島うどん」で働いていたんです。

たまたま、ご縁があり、「馬渕製麵所」を引き継ぐこととなりました。

お店を引き継ぐ際、馬渕の大将にも快諾してくださいましてね。大将と引継ぎもかねて、一ケ月間「馬渕製麺所」で一緒に働かせてもらったんです。

家業でうどん屋をしていましたが、まさか他のお店を引き継ぐことは考えもしなかったですし、まして「馬渕製麺所」はたくさんのお客さんから支持されていましたから。

最初は不安でしたよ。

でも、引退を決めた大将と一緒に働けた一ケ月間はとても貴重な経験でした。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※「馬渕の大将の良いところをたくさん吸収出来て、本当に勉強になりました」と大島さん。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※毎日、早朝から忙しくお店を切り盛りする大島さん。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※大島さんの朝練りのうどん。はちきれんばかりの生命力に溢れています。

 

 

 



 

 

 

 

ーー「馬渕製麵所」の味を続けていくかどうか。

たくさんの常連さんがいらっしゃるお店ですので、まずは馬渕さんの味を守ろうと思いました。

大将が打っていたように、うどんも出汁も同じ味を常連さんに提供することを一番に考えてましたね。

まずは常連さんが離れないように…馬渕製麺所のお客さんを裏切ってはいけないという気持ちです。

大将から引き継いだ後も、まずまずの評判でホッとしたことを今でも思い出します(笑)。

常連さんから、「大将の味と違うで」と言われることもなく(笑)。順調だったと思います。

そんな中、少しずつ自分ならではの「色」みたいなものを、常連さんに気付かれないように出した2年間でもありました(笑)。

2年経過して、自分の中で

「馬渕の大将の味を守るだけで良いのか」

「自分のうどんで勝負しなければいけないのではないか」

という葛藤が生まれてきました。

なので、引き継いでから2年経過したくらいからでしょうか。

これまで、変わらず来てくださっている、お客さんも納得してくれるようなうどんでありながら、自分が思う理想のうどんを提供することにしました。

常連さんにも気づかれないように少しづつ、うどんづくりを変化させて行きました。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※水分量多めのうどんはつるんと輝いて見えます。

 

 

 

ーー「馬渕製麵所」から「大島」のうどんへ。

かけ出汁は、実は引き継いだ時からすでに変えています(笑)。

以前はカツオのみを使った出汁でしたが、僕が引き継いでから、イリコと昆布等をブレンドした出汁に変えました。

出汁は馬渕の大将と同じく、やさしい、柔らかい風味のものが自分も好きでしたので、出汁づくりを変えたことも常連さんにも気づかれませんでした(笑)。

うどんに関しては、太さや固さ等の好みがあります。

作り手側から、言わせて頂くと毎日同じ品質のうどんを作り続けるというのは、ほぼ不可能なんですよね。

毎日、微妙に違います。

なので、とにかく自分が美味しいと思う、うどんをつくることに集中しました。

うどんづくりを20年以上続けてますが、正解はありませんね。本当に日々コツコツと勉強していく感じです。

おかげさまで、現在も昔と変わらずにご近所さんから、愛されているうどん屋であることは、馬渕さんの頃から変わっていませんので。正直ホッとしています。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※「一定の品質を保つことは本当に難しい」と大島さん。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※ミリ単位の微妙なバランス調整が必要な出汁づくり。

 

 

 

ーーうどんづくりのこだわり。

うどんづくりで一番大切なことは、毎日の微差を確認して調整することです。

最初の練りや手合わせの時に、その日のうどんの出来がほぼ決まります。

当店は朝練りで、どちらかと言いますと加水が多めのうどんです。

朝起きた時の気温や湿度、小麦粉の状態を正確に把握したうえで、自分の手でうどんをつくらなければいけません。

こればっかりは、経験からくる感覚が大切ですので、言葉に出来ないですね。すいません(笑)。

うまく言えませんが…自分の手の平で触った感触で感じる違和感をなくすことですね。

理想のうどんが出来ることは一年で、せいぜい2~3回だと思います。それだけ、うどんは思い通りにならないんですよ。

なので、本当に日々修正と勉強の反復です。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※水分量の多いうどんは艶やかさも抜群。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※取材時は定番の「かけうどん」を頂きました。美味しいっ。

 

 

 



 

 

 

 

ーー大島さんのオススメ「かけうどん」。

おすすめはやっぱり「かけ」ですね。

当店はオーソドックスなメニューしかありませんので、「かけ」を楽しんで頂きたいです。

気持ち太めの麺とやさしいかけ出汁をぜひ。オススメです。

当店は「てぼ」で麺を温める、昔ながらの讃岐うどん店のスタイルです。「てぼ」で自分の好きな固さに調整して食べてもらうのも楽しいと思います。

とり天ばらしはしっかりと下味をつけていますので、当店の控えめな出汁と相性抜群です。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※人気のトッピングはとり天ばらし。ボリューム満点です。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※初めての方はぜひ「かけうどん」をお召し上がりください!

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※香川県民にはたまらない「てぼ」。お好きな熱さと固さに調整できます。

 

 

 

ーー人気メニュー「そば」。

「馬渕製麺所」の時代から、変わらない人気メニューは「そば」ですね。

「そば」と言いましても、香川県ならではのうどん屋の「そば」です。

毎日着てくださる常連さんが多いので、「そば」はローテーションの谷間で食べる方が多いです。箸休め的な感じなんでしょうね(笑)。

うどんとそば両方を一緒に注文するお客さんも一定数いらっしゃいます。

当店の麺はうどんにしろ、そばにしろ、自家製です。中華そばも実家の本店でつくったものを提供しています。

香川県のうどん屋さんのそばって美味しいですよね。自分も他のうどん屋さんに行って、そばをやっているお店があれば、ついつい注文してしまいます。

香川県のうどん屋さんがつくる、そばは独特な魅力があると思います。色々なお店を食べ比べるのも面白いですよね。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※香川県内のうどん屋さんでたまに見かける「そば」。ネギを乗せて食べるだけでも満足の味です。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※大島さんオススメのそばのトッピング「天ぷら」。そばとの相性抜群です。

 

 

 

ーー最後にひとこと。

実はうどん職人は孤独なんですよ(笑)。

毎日の作業量も多く、作業時間も長いので。外の人と関わることが以外に少ないんですよね。

でも、自分もSNSをはじめてから、色々なうどん屋の大将が食べに来てくれましてね。

ここ1年で本当に仲間が増えて楽しいです。お互いに切磋琢磨出来る関係が素敵だなと感じています。

自分も広い視野で讃岐うどん業界全体に貢献できるような人間になりたいと思えるようになりました。

本当に有難いですね。

当店に関しては常連さんが多く、近所の方には普段使いして頂いているうどん屋です。お気軽にお越しくださいね。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※うどんもそばも両方のご注文もおすすめです。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※昔ながらの讃岐うどん店の代表的なお店です。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※「馬渕製麺所」時代から、うどんは7玉までの価格がメニューに。実際に注文されるお客様もいらっしゃるとか。

※画像は「手打ち麺や大島」の写真です。

※お忙しいところ、取材のご対応ありがとうございました。

 

 

 



 

 

 

 

手打麺や 大島
住所 〒761-8073 香川県高松市太田下町3013-1
営業時間 9:30~15:00  ※休みは第1・第3・第5日曜日

この記事を書いた人

アユム・スカシヒット(株)一誠社http://isseisha.co.jp/

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