讃岐うどんは面白い~後編~「うどん学」を教える合谷教授にインタビューしました。
前編のつづきです。香川大学の人気講義「うどん学」をご教授されている、農学博士の合谷祥一(ごうたにしょういち)教授に取材させて頂きました。
※以下、合谷教授の簡単なプロフィールです。
食品物理学を専門に農学博士として、2000年には日本食品科学工学会奨励賞を受賞。
食品に関する様々な研究と多くの書籍や論文を発表。
現在も食品物理学の研究と同時に地域貢献の一環として「うどん」学を香川大学で農学部の他の先生方、農学部以外の先生、香川県職員の方々、製粉会社の方々と共同して講義中です。
詳細はコチラ→合谷教授プロフィール
讃岐うどんは面白い~その2~「うどん学」を教える合谷教授にインタビューしました。
→※讃岐うどんは面白い~その1~「うどん学」を教える合谷教授にインタビューしました。
ーー讃岐うどんの特徴は。
やはりコシですね。コシというと、大変抽象的です。私は食品物理学を専門にしていますので、その観点で讃岐うどんのコシについて説明しましょう。
適度に茹でられた、うどんの表面は適度な空洞や空間があり、中心部にでんぷん粒がまだ残っています。そのため、表面はツルツルで中心部には強い弾力があるんです。それが、うどんのコシであり、おいしいと人間の味覚で判断されている要素です。
→【取材】もり家の森田社長に讃岐うどんのこだわりとエッジについてお伺いしました。
ーー讃岐うどんの「コシ」はうどんの食感の強弱。
そうですね。
麵の表面から中心部まで一律、同じ固さのうどんはおいしいとは判断されないんです。うどんの外側も中心も固い=コシがある、とはならないんですね。あくまで表面は柔らかく、中心部に歯ごたえがしっかりとあるうどんを人間は美味しいと感じます。打ちたてのうどんは、、麺の外側は柔らかく、中心部分は弾力があります。時間が経過して、茹で伸びすると、外側から中心部分まで同じような弾力になってしまいます。そうすると、おいしくなくなってしまいます。
強弱が重要なんです。表面はツルツルで柔らかく、中心部を噛みきるには、かなりの咀嚼力が必要な物性が良質な「コシ」といえます。ちなみにパスタのアルデンテも数値的に讃岐うどんと非常に近い分布になります。国や味付けは違えど、人間が好むおいしいと感じる嗜好は同じなのかもしれません。
ーー日本人が持つ感覚「うまみ」。
ちなみにうまみの味覚は日本人がとても発達しています。色々な食材のうまみ成分を発見したのも、日本人学者が多いんですね。うまみの代表格は昆布やカツオなど、いわゆる出汁をとる食材に多く含まれます。讃岐うどんも基本は出汁につけて、食べますから。讃岐うどんがこれだけ全国的に人気があるのも、おいしいと感じる食感の「コシ」と出汁の「うまみ」が伴っているからではないでしょうか。
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ーー糖尿病全国ワースト1位の香川県。
お隣の徳島県と毎年デッドヒートを繰り返しています(笑)。科学的に見ると、うどんが特別カロリーが高いわけではありません。100gあたりのカロリーで見るとご飯の方が高いですし、そばよりも低いんですね、同じ四国の愛媛県も高知県もそこまで、高くないことを考えますと、歩かないことが原因ではないでしょうか。愛媛も高知も市街地は鉄道が走っており、鉄道利用者が多いですからね。
香川県は車社会です。歩く機会が少ないんではないでしょうか。やっぱり、適度な運動は大切です。
ーー讃岐うどん店が抱える排水処理問題。
うどん茹で汁のCOD(河川水の汚染の指標)は、100倍に薄めた茹で汁でも、ため池や河川の水よりもずっと高いです。それくらい深刻な問題です。数値でみると、昼の12時30分と15時00分が排水量が抜きんでて多いんです。これは見事にうどん屋のピーク時間と閉店時間と重なります。この問題は香川県もうどん屋に対して、細かいお願いをしているそうです。例えば、うどんの打ち粉は水に流さずごみ箱へ…、ゆで汁は浄化してから捨てる等々。うどん県ならではの問題です。楽しい話題だけでなく、こういう良くない問題点も学生に伝えることが「うどん学」では大切なことです。
ーー「うどん学」を通じて。
学生には讃岐うどんを通して、地元の香川県に興味や関心を持ってもらいたいです。卒業後に社会人となり、地域貢献できたり、地域貢献しようとする卒業生が一人でも増えてもらえればと願っています。
ーーちなみに合谷教授の好きなうどんは。
コシのあるうどんですね。讃岐うどんはコシがないと、ダメだと思いますよ。良く食べに行くうどん屋は近所のうどん屋です。近くておいしいので、通っています。これは、香川県民は皆同じではないでしょうか(笑)。
この記事を書いた人
アユム・スカシヒット(株)一誠社http://isseisha.co.jp/
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