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坂出市大屋冨町「堺屋醤油(株)」~讃岐うどんと醤油の話。うどん県香川に寄り添う醤油づくり~

2020.07.20

食卓の様々なシーンに合わせた「専用醤油」で注目を集めている、香川県坂出市にある堺屋醤油(株)さん。

時代の変化に対応すべく陣頭指揮を執っている三谷朋幹社長にお話をお伺いしました。もちろん讃岐うどんと醤油のお話もあります。

坂出市大屋冨町「堺屋醤油(株)」~讃岐うどんと醤油の話。うどん県香川に寄り添う醤油づくり~

ーー創業。

弊社は文政2(1819)年に鎌田酒造「屋号 堺屋」として創業し、昭和22(1947)年に独立しました。1970年代に入り、香川県醤油醸造協同組合から醤油の元になる生揚(きあげ)醤油を仕入れて加工する業態へと舵を切りました。

いわゆる醤油屋さんから、だしの素やドレッシングも作れる調味料屋さんへとシフトしているところです。

優良な微生物がたくさん棲みついた歴史ある醤油工場

※坂出港の端、瀬戸内海を一望できる五色台の麓に堺屋醤油はあります。

※伝統ある堺屋さんの看板です。

※「堺屋醤油」さんは地元に根差した地域密着の企業です。



ーー楽しみ拡がる食卓の選択肢の一つになりたい。

1990年頃から日本では醤油自体の消費量は年々減り続けています。「食生活の多様化」などから、だし醤油やぽん酢など醤油加工品の消費が伸びています。醤油を加工する技術を活かし、調味料へと守備範囲を広げることで可能性は十分にあると考えます。

さらに地元の食材にこだわり、食事のシーンに合わせて使い分けてもらえる調味料を提供できれば、お客様に受け入れられると思っています。

堺屋醤油の三谷朋幹社長

※「お客様に『美味しい』と言ってもらえれば、必ず生き残れると信じています。」と信念を語る三谷朋幹社長(右)と営業本部長の川原信介さん。

 

 

 

ーー讃岐うどんと醤油との関係性について。

やはり醤油は出汁の根幹となります。

出汁が麺と合うかどうか重責を担っています。うどん店の方々が創業時から出汁に使う醤油を変えたがらない理由でもあります。

最近ではうどんのメニューによって醤油を変えることは多くなりました。これも食の多様化の影響かもしれません。時代とともに料理に「甘め」を求められていると思います。旨味を表すチッソ量においてもその傾向がみられます。

地元の醤油会社が年々減っていくなかで、我々としては伝統の味を守りぬいて行きたいと思っています。

※写真は堺屋醤油の三谷朋幹社長です。

※「姿かたちは変わっても追い求める信念は変わらない。」と三谷社長。穏やかな口調の中に想いの強さを感じます。

 

 

 

ーー讃岐うどん店にとっての醤油。

当店の醤油を扱ってくださるうどん店も昔からあります。

讃岐うどん店の店主さんにとっては、うどんと同じくらい繊細に扱われています。一度、お店の味を決めると中々、店主さんも変えられないですよね。醤油は消費者にとっては身近な存在ですが。讃岐うどん店にとっては、麺と同じく、その店の味の基本になりますから。特に讃岐うどん店の店主さんとお話する時は本当に勉強になります。

※写真は堺屋醤油様の醤油でつくったうどんです。

※急遽「ゆたかあじ」で作った頂いた讃岐うどん。麺は日の出製麺所さん。その名の通りに豊かな味わいに仕上がります。

 



 

ーー約40年前に主婦の意見(市場調査)から生まれた「だし醤油」。

市場調査というと大変仰々しいですが、当時からお付き合いの深かった農協の女性部の皆さんが、地域のイベントなどで炊き出しをすることがあり、大量に作るので味をとるのが難しく、どうしても作り手それぞれの味にバラつきがでました。

「だし醤油」にすることで素材を生かした料理を作ることができ大変好評をいただいたそうです。現在、様々な種類の醤油を展開していますが、定番のだし醤油の味は40年以上変えていません。

つまり、堺屋醤油の味が坂出の家庭の味となり、今まで何世代にもわたりご利用頂いています。

※写真は堺屋醤油様の内観です。

※瓦葺で天井が高く、柱の少ない広い建物は、もともとは塩の倉庫だったそうです。壁や天井には、野生酵母が棲みついています。

 

 

 

ーー地域限定商品を。

生揚醤油を共同組合から仕入れて加工する現在のスタイルに変わって以降は醤油屋自体の考え方を変えないと生き残れません。

スーパーで特売の目玉商品として醤油がミネラルウォーターより安く売られることもあります。ただ醤油を作って売るのでは限界があります。

売れ筋ナンバーワンの「たまごかけしょうゆ」は、本醸造醤油にカツオやコンブのだしを利かせた卵かけご飯専用の醤油です。薄口醤油を使ってだしの風味を生かすことで卵の臭みを和らげています。醤油自体の色も明るくし、パッケージは卵の黄色にしています。本来の味を感じて頂きたいので、お子様にも分かりやすく「かけすぎ注意」と表示しています。

※写真は堺屋醤油の営業部長の川原信介さん。

※「醤油文化を絶やさぬよう、美味しい醤油を知っていただきたい。」と語る営業部長の川原信介さん。

 

 

 

ーー堺屋のロングラン商品「ゆたかあじ」。

弊社のロングラン商品であります。

讃岐うどんをずっと影から支え続けています。お湯にとかすだけで、讃岐うどんのつゆが味わえます。

「家庭の味」といえば「ゆたかあじ」を思い出す方もいらっしゃると思います。粉末の醤油とかつお、こんぶ、しいたけを配合した、だしの素です。合成保存料、人工甘味料、人工着色料を使用しておりません。今までは業務用の大きなサイズでしか販売していなかった商品ですが、一般のご家庭でも使いたいという多くの声をいただき、1人前づつのスティックタイプをつくりました。雑炊や煮物、丼物やおでんなど様々な料理にご利用いただいています。

※写真は堺屋醤油様の商品群です。

※ロングラン商品の「ゆたかあじ」や売れ筋ナンバーワンの「たまごかけしょうゆ」など豊富なラインナップがあります。

※写真は郷土料理の代表「しょうゆ豆」です。

※香川の郷土料理の代表的メニュー。堺屋醤油の味を活かした、程よい甘味の「しょうゆ豆」です。

 

 

 

ーー和食ブームでマーケットは世界に。

弊社はスーパーマーケットやうどん店さんなどに商品を卸して、香川県内での売り上げが全体の約7割を占めています。

ですが、ここ数年の和食の世界的なブームで、だしや醤油を買っていく外国人のお客様が増えています。香川県内の観光地で飛ぶように売れていて、正直驚いています(笑)。

和食といえば、一汁三菜が基本とされていますが、私は味噌や醤油などの調味料は和食の肝だと思っています。外国の方々にも醤油を使っていただくことで、日本の味を思い出していただきたいですね。

堺屋のこだわり。職人が丹精をこめて。

※野生酵母が棲みつく影響で、黒く焦げたように黒ずんで独特の雰囲気があります。

 



 

ーー堺屋醤油のこれから。

やはり、地元密着が大切です。

ここ坂出の土地には鮮やかな赤と甘みが特徴の「三金時」(金時イモ、金時ニンジン、金時ミカン)があります。醤油ドレッシングなど試行錯誤しながら開発をしています。地元の方には三金時の調味料をセットにして販売したいですね。

近所の主婦の方に「うちの子、卵かけご飯が大好きで、『たまごかけしょうゆ』を毎日使うんです」と言われたことがとても嬉しく、今でもよく覚えています。

味には人それぞれに違った好みがあります。だからこそ、できる限り細かく丁寧にやっていきたいと思います。食は人生の大きな楽しみです。楽しみが拡がる食卓の選択肢の一つに堺屋の商品を選んでいただければ、何事にも代えがたい有難さです。

熱く思いを語る二人

※「醤油は日本の食文化。特地である坂出市にも密着していく責任を担わなければいけない。」と三谷社長。

醤油工場

※長い歴史のある工場…。実はもともとは塩の倉庫だったそうです。

※写真は堺屋醤油様の作業風景です。

※細心の注意をして瓶詰め、ラベルを貼って出荷。これも従業員さんが真心こめて作業されています。

※写真は「たまごかけ醤油」です。

※充填から包装も1本1本手作りで大切につくられているのが魅力です。

堺屋醤油株式会社
住所 香川県坂出市大屋冨町1799-1
電話番号 0877-47-3151
公式サイト http://www.sakaiya-soy.co.jp/

この記事を書いた人

カズシゲ・イリコセグロ(株)一誠社http://isseisha.co.jp/

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