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【取材】讃岐うどんの「塩」に迫ります。入浜式塩田の塩づくりを取材。~その1~

2018.02.19

讃岐うどんは小麦・水・塩のみでつくられます。

シンプルなだけに素材で良し悪しが決まる場合もあります。

香川県では伝統的に塩製造がさかんです。

なぜ、さかんなのでしょうか。

取材してみました。

【取材】讃岐うどんの「塩」に迫ります。入浜式塩田の塩づくりを取材。~その1~

讃岐うどんに塩は不可欠です。

塩はうどんのコシを生み出すために必要な弾力性のあるたんぱく質「グルテン」が出来る補助的な役割を担っております。

うどんのコシに塩は欠かせません。

ということで今回は宇多津町の海ホタル内にある塩づくり体験を取材させて頂きました。

取材にご協力頂きましたのは、宇多津町振興財団の安部さんと宇多津町まちづくり課技師の川染さんです。



●伝統手的な塩づくりについてお伺いしたいです。なぜ、宇多津町は塩づくりが盛んになったのでしょうか。

塩づくりに適した地形と気候が大きな要因です。

宇多津や坂出近辺の海岸は海が遠浅で沖までかなり底が浅いですね。

塩田での塩づくりは天日で乾かさないといけませんので、雨が少ないことが重要です。

さらに塩田の基盤となる細砂が手に入りやすかったり、燃料となる松林が近くで生えていたり。

宇多津や坂出は塩づくりの環境に恵まれていました。

※気候も温暖で雨も少なく、日照時間も長い瀬戸内海。塩づくりには条件が揃っていました。

 

●宇多津での塩づくりの歴史について教えてください。

いわゆる入浜式塩田は1745年に開拓されました。

最初は10ヘクタール程度だったのですが、地形上、海水が取り込みやすかったり日照時間も長く、塩づくりが効率良く出来たことで明治後期には200ヘクタールの広さに拡大されたそうです。

当時はこの海ホタルの敷地からJR宇多津駅までの土地全てが塩田だったそうです。

明治時代から塩づくりの最盛期がはじまりましたので、その時代には宇多津や坂出から塩を全国各地へ出荷していたそうです。

※塩出荷量がピークの時の塩田風景画です。沼井といわれる台が何台も並んでいるのが分かります。

 

●塩づくりといいますと個人的にこれをイメージしてしまいます。

※人気TV番組でも塩づくりを紹介されたそうです。

 

これは「浜飼(はまかい)」といって、砂に海水をまく作業ですね。1日に3~4回砂に海水をまき、砂に塩を付着させます。途中で雨が降ると、塩分濃度が下がる為最初からやり直しになります。

 

●入浜式塩田について教えてください。

中世から順で言いますと最初は「揚浜式塩田」です。

揚浜式は先ほどの浜飼(砂に海水をかける)を行い、太陽熱と風で水分を蒸発して、塩をつくるやり方です。

その後が「入浜式塩田」です。

潮の干満差を利用して、多くの海水を塩田に引き入れ、毛細管現象を利用して、砂の上層部に海水を供給してます。

太陽と風で水分を蒸発させて、塩分がたっぷり付着した砂を集めて海水で洗って、濃い塩水を抽出する方法です。

これが江戸時代~昭和30年まで続いた製法です。

※入浜式塩田の仕組みです。海の満ち干きを利用して、前時代の揚浜式よりも効率の良く、たくさんの塩が取れるようになりました。(※防府市のHPから画像をお借りしています)

※入浜式の塩田。沼井(ぬい)といわれる台が確認出来ます。最盛期には宇多津内で沼井が7500台もあったそうです。

 

※明け方には「浜引き」が完了します。浜引きは夜露を含んで冷えた砂をかきならし、日中に水分蒸発を盛んにする為です。塩田全体を鍬等で引く作業です。さらにより多くの海水を塩田に引き込む為に塩田の脇に水路が引かれています。

 

●こちらで出来る入浜式塩田の作業体験ですが、実作業で難しいところ等教えてください。

基本的に重労働ですからしんどいです(笑)。

海水を砂にかける浜飼が作業だけでありませんから。

朝一番で浜引きといって塩田を鍬等で起こす作業からはじまります。

浜飼後は「入鍬(いれくわ)」といって砂を沼井(台)に運ばなければなりません。

さらに「上げ水」と言って海水を桶に入れて沼井まで運ぶ等々、力と経験が必要な作業と時間がかかる作業ばかりなんです。

私たちは沼井1台を3〜4人で担当していますが、当時の方達は大体1人5台くらいの担当…と記録にありますので、かなりハードな作業だったと思います。

ちなみにタモリさんもされている浜飼(写真)は海水を撒いて海水上昇作業を助ける作業なんです。

本当は入浜式ではあまりやる必要はないんです(笑)。

毛細管現象で表面に海水が砂の表面に上がってきますから。

※海水を砂にかける浜飼。霧状にかけては乾かす。これを夏場で1日3〜4回繰り返します。技師の川染さんの技も間近で見せて頂きました。

 

※海水が均等な分量と霧状になるのが理想的です。

 

※まんべんなく綺麗に海水が同じ分量で土にかかっております。川染さんの技術ですね。お見事です!

 

※こちらが浜飼尺です。長さは2m近くあります。私もやらせて頂きましたが扱うのが大変難しいです。

 



●毛細管現象で塩田の砂の表面に上がってた海水は太陽熱と風の力で蒸発して塩の結晶をつくる…それを鍬等でならして、塩分を含んだ砂を沼井に入れたり…と入浜式塩田づくりの工程は続きます。

そうですね。

入鍬と言いいまして、鍬で引っ張ってきた砂をその勢いのまま、沼井の中に入れていきます。

これもコツが必要で力だけでは上手に出来ません。

その後、上げ水の工程となります。

桶を背負って、勢いよく海水を沼井に入れる。特に上げ水は合計900リットルの海水を沼井に運び入れなければいけません。

ここは力とコツ、経験や熟練が必要な工程ではないでしょうか。

体力的に一番しんどいところなんです。

入浜式塩田は結局、より塩分濃度の高い塩水をつくることが目的なんです。

※沼井の中です。沼井はかん水をつくる濾過装置です。竹や藁等を敷き詰めています。この上に塩分を含んだ砂を入れていきます。

 

※砂にえくぼが出来ないように藁の上から海水を沼井に注ぎ込みます。

 

●かなりハードな工程の連続です。ここが一番熟練の技術と経験が必要ですね。

そうですね。

昔から男衆の仕事です。

昔ピーク時ではこの作業も一つの沼井台で4~5回を16台こなしていたそうです。

首と肩にはコブが出来ていたそうですから。大変だったと思います。

※沼井の中に桶で勢いよく、塩田の溝から汲んできた海水を入れます。

 

入浜式塩田は塩分濃度の高い塩水を釜で煮詰めて、塩の結晶をつくりあげるのですね。

【取材】讃岐うどんの「塩」に迫ります。入浜式塩田の塩づくりを取材~その2~

復元塩田体験学習
住所 香川県綾歌郡宇多津町浜一番丁四
電話番号 0877-49-0860
営業時間 体験学習について (料金)5人までのグループで1,500円、1人増えるごとにプラス200円 ※1週間前までの要予約制です。(天候により中止になる場合があります)
公式サイト http://www.uplaza-utazu.jp/umihotaru/enden/

この記事を書いた人

アユム・スカシヒット(株)一誠社http://isseisha.co.jp/

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