
高松市鬼無町「ヨコクラうどん」~店主横倉さんが語る 讃岐うどん is Entertainment~

2021年突如SNSに登場し、讃岐うどんファンに衝撃を与えている「ヨコクラうどん」さん。
日々のTwitter等の投稿は店主横倉さんによるもので新進気鋭の讃岐うどん店ではなく、「ヨコクラうどん」さんは店主の横倉さんでなんと5代目。創業は江戸時代にも遡るそうです。
超老舗うどん屋の5代目である横倉英城さんにインタビューさせて頂きました。
高松市鬼無町「ヨコクラうどん」~店主横倉さんが語る 讃岐うどん is Entertainment~
ーー創業は江戸時代。英城さんで5代目。
そうなんです。
実際に会社としての登記簿登録などは昭和になるのですが、うどん玉卸をメインに創業は江戸時代からです。自分で5代目と言われています(笑)。
江戸時代からの操業のくだりは、曖昧なことが多いんですね。実際に証明できるような写真や書類が手元にあるわけではないんですよ。ですので、麺通団の田尾さんがされていますさぬきうどん未来遺産プロジェクトでも当店の近所のお年寄りの方々に聞き込み等の捜査して頂いています(笑)。
近所に大きな水車があって、それで小麦粉を挽いて、うどんを作っていた…という話もお客さんから聞くことが多いんですよ。それは間違いない事実なんですが、写真なんかは一切ないですね。讃岐うどん老舗あるあるです(笑)。
いずれにしても、長い間、ご近所さんに可愛がられてきた店なんだなと感謝して、日々営業しています。

※「ヨコクラうどん」さんの店内。懐かしい感じもありながら、どこか洗練されています。

※「讃岐うどんは本当に奥が深くて、日々勉強中」と店主の横倉英城さん。
ーーうどん屋を継ぐ前は。
関西の大学を卒業して、そのまま大阪のTSUTAYAさんで就職していました。
昔から本や演劇が好きでしたので、TSUTAYAさんのお仕事も本当に楽しかったです。大阪圏内で、割と大きな店舗の店長を任されるようになりまして、店舗の数字やマネージメントもさせて貰えるようになりました。店舗運営や経営は大変だけど楽しいなと感じていて、それなりに充実した日々でしたね。

※「うどん屋はとにかく1日1日が真剣勝負で手が抜けない。大切なのは気持ち」横倉さんの人柄が溢れ出るうどん作り。

※うどんをつくる時の横倉さんは真剣そのもの。元々は本や演劇が好きで学生時代は哲学書も読まれていたそう。
ーー老舗「ヨコクラうどん」を継ぐことに。
両親や祖父も年を取り、実家のうどん屋をどうするかということになりました。後々、家族の面倒もみないといけないので、
「自分が継ごう」
と割りとあっさり決めたと思います。
TSUTAYAさんで売上管理や店舗運営も経験して、それが楽しかったので、やる自信もそれなりにあったんですけど。実際にやってみると、うどん屋の経営は本当に大変でした。というか今も大変です。

※「ヨコクラうどん」さんの名物「しょうゆうどん」。昔から変わらない、老舗の味。
ーー「ヨコクラうどん」のうどんづくり。
自分は幼い頃から、うどん作りの現場で育ってきました。
正直、うどんを作ることが好きとか嫌いとかという感覚自体が自分にないんですよ。
当たり前のように毎日毎日、うどんを作っているのが日常でして。その光景が当たり前過ぎて、特別な感情がないというのが本音なんです。本当に好きでもないし、嫌いでもない、言葉に出来ないんですよ。
思い入れはもちろんありますけど。当たり前にありすぎたんでしょうかね(笑)。
昔から、玉卸がメインでやっていますので、手打ちと機械の割合は半々くらいでうどんを作っています。老舗なので、全ての工程を手作業で作っていると勘違いされることもあります。そこは、何か申し訳ないなと思います…(笑)。

※細めで控えめな印象のうどんですが、食べると弾ける強さを感じる、正真正銘の讃岐うどん。
ーー5代目として思うこと。
なんだかんだで本当に恵まれた環境だと思います。
うどん屋さんを新規でゼロから開業するより、遥かに揃っていますから。
設備や技術、店舗の仕組みから、お客様もすでにいらっしゃってくれています。そこは勘違いしないようにお客様とうどんづくりは大切に継続していきたいです。
うどん職人として、美味しい讃岐うどんを提供するのはもちろんですから。これからも技術的な努力や研鑽は必要ですし、何よりお客様を大切にしたい。
ただ、讃岐うどんが人気の理由は、それぞれのお店の背景にある物語や、うどんを作るまでの工程とかうどんを食べて美味しいか、そうでないのか。
そして、最終的にそのお店が好きかどうかを総合的にお客様が判断されているのではないかと自分は思っています。
ですので、5代目として自分が出来ることは
「讃岐うどんで総合的にお客様を楽しませること」
だと思っています。

※お客様を楽しませたい気持ちで始めた毎日のSNS投稿。Twitterでの投稿は日々盛り上がりをみせます。
ーー話題沸騰中のSNS投稿。
時代は令和です(笑)。
昭和の時代まで通用していたやり方が、現在は通用しなくなってきていると思います。
ウチも元々は近所のお客様への玉卸がメインでしたが、今はお客様の高齢化に加えて、親戚全員で集まって、自宅で親戚大勢でうどんを食べる習慣等がなくなりました。
これからは、いかにしてお店に足を運んで頂くか。また、そういうきっかけを持ってもらうことがとても大切だと思いますから。受け身でなく、自分から発信して気にかけてもらう時代ですよね。
どうせ毎日、投稿するなら、クスッと笑って楽しくなって欲しいですね。とにかく、うどん以外のところでも楽しんで頂きたいですね。
色々なSNSがありますけど、自分はInstagramが好きなので毎日時間かけています。もちろん、TwitterもFacebookもやっていますね。

※特別に取材時にも一句捻りだして頂けました。お忙しいところすいません。

※毎日のネタは、思いついたらスマホにメモされているそうです。

※うどん作りと同じく一句一句、全集中の呼吸で書かれるそうです(笑)。
ーー「明日は今日より楽しい」をモットーに。
自分の人生を生きていく上で、自分の子供には
「人生は楽しいもの」
と思って欲しくて、自分なりに考えて日々生活をしています。うどん屋を継いで欲しいとは思っていませんが、最近子供がこう言ってくれています。
「スーツを着た仕事はしたくない。自分は将来、Tシャツで汗だくになって働きたい」
自分がスーツは着て仕事していないので、父親の仕事ぶりや生き方を肯定して貰えているのか…と、本当に嬉しかったですね。
讃岐うどん業界も昔と大きく変化していますから。
変化に対応しながら、代々続く、「ヨコクラうどん」を支えていきたいです。

※「ヨコクラうどん」さんの「肉ぶっかけ冷」。懐かしさと横倉さんの人柄が溢れ出る、いぶし銀な一杯。

※玉子を割ると肉と玉子に細めの麺が絡み合う渾身の一杯。美味しい。
ーーうどん屋として出来ること。
最近のうどん屋さんは、自ら発信していることを楽しまれていますよね。
例えば、丸亀市のよしやさんは超がつくほど人気店です。うどんを切る工程も包丁でやられている完全手打ちのスタイルですね。仕込みの量も多く、時間に日々追われているはずなのに、毎日発信して楽しんでいらっしゃるようにみえます。
10分うどんの大庄屋さんもTwitterの投稿を拝見していまして、本当に面白くて吹き出す時があります。他にも多くのうどん屋さんが
「讃岐うどんは美味しいし、楽しい」
と仰って、発信してくださっているように感じています。
自分もそこに追いつき追い越せで頑張りたいですね。自分が毎日投稿しています、Twitter投稿なんかは、ネタ探しのために毎日毎日考えたり、ネタ探したりしています。
「自分は本当にうどん職人かな。お笑い芸人みたいやな」
と自分でも、勘違いしそうにもなる時もあります(笑)。

※9月からの蕎麦の季節にあわせて一句。 「あの蕎麦らしい大を もう一度」。

※会心の出来にドヤ顔の横倉さん(笑)。お忙しいところ、長時間の取材対応、ありがとうございました!
ーー最後に一言。
うどん屋単体、一店舗の経営だけで言えば、スタッフの数や仕込みの量は限界があります。
必然的に一店舗での売上や利益というのも限界があります。売上や利益を伸ばすことは経営者として、お店を継続していくために必要な前提条件です。それが目的にならないようにしています。
ウチの付加価値はうどん+楽しんでもらうことです。儲かって自分たちが楽しむことではなく、お客様に「ヨコクラうどん」を楽しんで頂くことが目的です。
それをお客様にも、いつか理解して頂いて、
「ヨコクラうどんがまた面白いことしてるな」
とか思って、食べに来てもらえれば最高ですよね。
それが、5代目としての自分の役割ではないかと思っています。古いお店ですが、一生懸命楽しく、必死でやっています。お気軽にお越し頂いて、気軽に話しかけてやってください!

※美味しい+楽しい=ヨコクラうどん。横倉さんの恐るべき長文の読むのには、相当の覚悟が必要と噂の公式Facebookもぜひ。
ヨコクラうどん | |
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住所 | 〒761-8026 香川県高松市鬼無町鬼無136 |
電話番号 | 087ー881ー4471 |
営業時間 | 8:00〜14:30頃(※玉切れ次第終了) ※休みは不定休。月内の第3木曜日、詳細はSNSをご覧ください。 |
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この記事を書いた人
アユム・スカシヒット(株)一誠社http://isseisha.co.jp/
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