うどん用小麦新品種「さぬきの夢2023」〜テスト工場製粉を取材〜
- 2024.09.18
2024年9月10日に吉原食糧(株)で「さぬきの夢2023」テスト工場製粉が行われました。
香川県産うどん用小麦の新品種である「さぬきの夢2023」はさらなる改良が加えられているようです。
吉原食糧の工場内でのテスト製粉の様子を取材させて頂きました。
うどん用小麦新品種「さぬきの夢2023」〜テスト工場製粉を取材〜
ーー吉原食糧(株)吉原社長よりご挨拶。
吉原食糧(株)の吉原社長よりご挨拶がありました。
「初代である「さぬきの夢2000」が出来て23年。日本で初めてASW (※主にうどん用に使用されるオーストラリア産小麦産小麦を指す)に匹敵するほどの品質の小麦が誕生したと日本中で注目され、国内産小麦としても、大きな転機となりました。初代から23年経過し、時代は令和に。香川県の讃岐うどんを食べる人たちの趣味嗜好も変化しつつある中で、「さぬきの夢2023」はそのような市場でどのように評価されるのか。まだまだ品質向上のため、研究中で今後もステークホルダーの意見を聞きながら、改良を重ね、より美味しくしようと邁進しています。」
とご挨拶がありました。
今回のテスト製粉では主に粉砕とふるい分けの工程を見せて頂けるとのことでした。
ーー香川県産小麦「さぬきの夢」シリーズについて。
香川県産小麦「さぬきの夢」は、香川県農業試験場がさぬきうどんのために開発した、香川県のオリジナル小麦品種の総称だそうです。
「地元香川県の小麦でさぬきうどんをつくりたい、食べたい」と同じ志を持った、同業界に関連する企業やうどん屋さん、さらにはうどん好きな地元の方々の熱い思いをうけて誕生した、讃岐うどんのための小麦です。
初代「さぬきの夢2000」は、2000年に登録出願された小麦の新品種です。その特長は麺色や食感、味と香りに秀でる一方で製麺性や茹でた後の麺の品質維持に課題がありました。
2009年に育成された「さぬきの夢2009」は初代の長所を継承強化しながら、製麺性を改善させ、香川県内のうどん屋さんの職人さんからも高い評価を得るまでに。強いて言うと、麺のコシがやや弱い傾向がありましたが、小麦独自の食味や香り、さらには美しい黄金色が人気を博しています。
そして、「さぬきの夢2023」は課題を改善しながら、様々な最新技術が投入され、さらなる改良がすすめられています。
ーーテスト製粉「粉砕」について。
一粒の小麦を55種類に挽砕し、分別します。
その中から、より良い小麦粉になるであろう部位を選別して、最終的に良質の小麦粉に仕上げます。選別は、色が綺麗で明るく、タンパク質も多く、なめらかで製麺しやすい等の基準に基づいて行われます。
このように、少しづつ粉砕していく方法を「段階式製粉」と呼ぶようです。
大型設備や最新機器を使ってはじき出す数値を基本に品質を徹底管理し、熟練の職人技による「経験」「勘」の両輪で小麦が製粉されていることに驚きました。
「さぬきの夢2023」は「さぬきの夢2009」と比較して粒の硬度が高いため、今後製粉方法をさらに研究していく必要があります。
ーーテスト製粉「ふるい分け」。
粉砕された小麦はふるい機でふるいにかけられます。粉とふすま(※小麦粒の表皮部分)にふるい分けられ、粒の大きさ別にふるい分けられるそうです。
実際にふるい機と呼ばれる、コンテナのような機械が細かく振動し揺れており、こうして小麦粉が製粉されるのかと改めて勉強になりました。
「ふるい分け」は粉砕した小麦とふすまの二つに分ける工程です。ちなみに振り分けられた、ふすまは小麦ブランとも呼ばれ、健康商品としてヒットしていますね。
吉原社長に実際に五段階の小麦粉を見せて頂くことも出来ました。
ーー現代のうどんのトレンドと「さぬきの夢2023」。
現在、日本国内ではモチモチとした加水率の高いうどんが人気があるようです。「さぬきの夢2023」では讃岐うどんらしさである適度な弾力、コシも表現できればという、関係者の方々の想いもあるそうです。
国内や業界から、注目度の高い「さぬきの夢2023」。
讃岐うどんらしさを改めて定義する、そんな転換期に誕生が待たれる県産小麦です。県産小麦の素晴らしさが一般的に浸透すれば、香川県のうどん屋さん、業界に限らず、全国各地に旋風が巻き起こる…そんな期待を感じられるテスト製粉見学でした。
この記事を書いた人
アユム・スカシヒット(株)一誠社http://isseisha.co.jp/
- TOP
- 讃岐うどんに関するまとめ記事やネタ情報
- うどん用小麦新品種「さぬきの夢2023」〜テスト工場製粉を取材〜