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老舗製麺業「サヌキ食品」の挑戦~太らないうどん!?「塩不使用・糖質カットのうどんが誕生」~

2019.04.17

製麺業と讃岐うどん店「香川屋」を経営する「サヌキ食品㈱」さん。

2019年3月から「塩不使用・糖質40%カットうどん」を販売開始。塩不使用、糖質オフを実現したうどんの開発秘話を取材。「サヌキ食品㈱」香川社長と営業部長石井さんにお話しを伺いました。

老舗製麺業「サヌキ食品」の挑戦~太らないうどん!?「塩不使用・糖質カットのうどんが誕生」~

ーー企画開発のきっかけ。

最近は健康志向がトレンドで、体に良いことが、当たり前の世の中になりつつあります。

「うどんは体に良くない。」

「香川県は糖尿病予備軍数が全国TOPで…。」

等の話を、メディア等でも本当によく耳にします。

香川県では、昔から「うどんは別腹」と言いましたが、私も60歳を超えて、体が少しづつ衰え、健康に注意するようになりました。健康のことを考えて、好きなうどんの量を減らすようになったことが開発のきっかけでしょうか。

お腹いっぱい食べても、体にやさしいうどんをつくりたい…そう思いました。それを日常的に消費される「ゆでうどん市場」で叶えたいと思いました。(香川社長談)

※写真はサヌキ食品㈱さんが開発した「塩不使用うどん(右)」と「塩不使用・糖質40%カットうどん(左)」。

 



 

 

ーー「うどんは体によくない」これに一石を投じたい。

長年、讃岐うどんづくりに携わったものとしてこう言われることは非常に悲しいですね。

ご存知のように、香川県民は毎日うどんを食べます。讃岐うどんが生活と切り離せない方が多いのが現実です。

私のように、お腹一杯うどんを食べたいけれど…年齢と共に大好きなうどんを控えなければいけない。これは香川県民にとって、本当につらいことです。(香川社長談)

※「伝統と同じくらい大切なことは、市場や世間にあわせていくこと」と香川社長(写真右)。

 

 

 

ーー企画開発まで。

当社の商品企画は営業セールス側が「売りたい商品(うどん)」の要望を製造現場に出します。製造側はその要望を精査して、実際に商品化に向けて開発してくれます。なので、セールス側が「今はこういう商品、こんなうどんが望まれています。」と、香川社長へリクエストする…分業制なんですね。

それで、消費者の動向を分析しますと、調理の手間が極力省かれて、食べるまでに時間がかからない物が人気でした。持ち帰りの「ゆでうどん市場」の場合、自宅で茹でるのが普通ですから。

これを何とか時短して、手軽に出来るように…電子レンジで温めて、すぐ食べることが出来るうどんが理想でした。(石井部長談)

※「香川社長の凄いところは変わる勇気を常に持っているところ。営業側の意見をすぐに行動に移してくださり、尊敬してます。」と石井部長。

 

 

 

ーー「塩不使用うどん」の開発までの苦労。

まず、讃岐うどんづくりにおいて「塩」は重要です。

「塩」の役割は小麦粉から上質なグルテンを取り出すことです。上質なグルテンは、うどんの美味しさである、弾力やコシを生みますからね。私も讃岐うどんを作り続けていますが、塩抜きで作ることは難しかったです。

塩抜きに加えて、電子レンジ調理が前提であること。さらに消費期限も通常のゆでうどんは5日程度ですが、ここも大幅に改良を目指して、常温で1ケ月保存可能を目指しました。(香川社長談)

※塩不使用、電子レンジ調理可能、さらに消費期限は1ケ月の㈱サヌキ食品が手掛けた「塩不使用うどん」。

 

 

 

ーー讃岐うどん作りの経験が生きたこと。

製造の詳細等は企業秘密になりますが…開発からはじまり、最終的に完成まで持ってこれた要因は、長年、誠実に讃岐うどん作りを続けて来た経験があったことです。

「こう作れば、こういう歯ごたえのうどんになる。」と麺の出来具合をおおよそ予想できますから。

塩不使用のうどん開発も、従来の讃岐うどんと、違わぬものに開発することが出来たのは、当社の経験と伝統があったからです。もちろん、長いお付き合いのある業社さんにもご協力頂けました。(香川社長談)

※写真は「香川屋 本店」のかけうどん。この一杯に伝統と技術が集約されています。

 

 

 

ーー開発お手上げ?「塩不使用・糖質40%カットうどん」開発秘話。

正直「塩不使用うどん」は何とかいけるだろうと思っていましたが…「塩不使用・糖質40%オフうどん」の開発はあきらめかけました(笑)

塩と糖質オフにしたうどんで従来の讃岐うどんの風合いを再現できるか…さらに電子レンジで調理可能、消費期限は常温で1ケ月。何度も作り直ししましたが、無理だろうと。一時期は完全に暗礁に乗り上げて、開発も止まっていましたね。(香川社長談)

※消費者やバイヤーの求められるハードルは高かったが「塩不使用・糖質40%カットうどん」も何とか完成に至りました。

 

 

 

ーー「塩不使用・糖質40%カットうどん」開発の裏側。

営業の石井部長がお付き合いのあるスーパーやバイヤーの方々に「もう少しで出来ますから。安心してください!」と言ってしまっていたんですね。

これは石井君のメンツもあるし(笑)、なによりサヌキ食品の信用に関わるぞ!!ということで、心機一転。

再度、一から挑戦して何とか作ることが出来ましたね。企業秘密なので詳しくは言えませんが、小麦粉等原料の見直しに製粉メーカーさんのご協力とご理解を頂けたことも大きかったです。(香川社長談)

※「本当に難儀だった(笑)」と「塩不使用・糖質40%うどん」を指さす香川社長と石井部長。

 

 

 

ーー進化を続けることの大切さ。

もちろん、伝統は大切です。

現在会社があるのも、父親や先人たちのおかげなことは間違いありません。只、伝統を守ることと進化や変化をしないことは別です。自分も含めて、世間は刻々と変化していきますからね。

当社には、うどんづくりの技術と伝統の蓄積や設備もある。それらの経営資源を使って、変わっていかないとね!時代に取り残されないように。(香川社長談)

※「私と同じようにうどん好きな方が体を気にせず、毎日食べられるうどんを作りたい。」と香川社長。

 



 

 

ーー最後に一言。

今後も「塩不使用うどん」と「塩不使用・糖質40%オフのうどん」だけにとどまらず、商品ラインアップを増やしていく予定です。

今回の商品開発のなかで、当社も新しい発見がありましたので。うどんファンの方は心待ちにしておいてください。

※長時間の取材にお付き合い頂いた香川社長と石井部長。お忙しいところ、ありがとうございました。

 

 

サヌキ食品 株式会社
住所 〒761-2406 香川県丸亀市綾歌町栗熊東467
電話番号 0877-86-2147

この記事を書いた人

アユム・スカシヒット(株)一誠社http://isseisha.co.jp/

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