高松市円座町「上野製麺所」~立地の悪さを物ともしない人気店の讃岐うどんづくりとは~
香川県内でも屈指の人気店「上野製麺所」の店主上野さんを取材。
タウン誌のうどんランキングで超有名店を退けて上位になることも。今回は趣味のお話しも含めて、色々とお話を伺えました。
高松市円座町「上野製麺所」~立地の悪さを物ともしない人気店の讃岐うどんづくりとは~
ーーうどん屋開業までは。
元もとは大学を卒業して、銀行員をしていました。当時は時代的にも仕事は厳しい、つらいということが美徳の時代でした。かなり激務だったのを覚えています。銀行員生活を10年間、何とか勤めましたが。
今振り返っても自分にあっていなかったなあと思います(笑)。
ーー銀行員から讃岐うどん屋へ転身のきっかけ。
同じ銀行マンの友人がおりまして、その友人が琴平エリアの支店に転勤になりました。
で友人が先に讃岐うどん作りにハマって、私にご馳走してくれました。そのうどんがあまりに美味しくすぐにうどんを打ちたくなって、大阪の道具屋筋に行って道具を揃え、うどんを打つようになったのがきっかけですね。
ーーうどん屋開業までの準備。
うどんが好きすぎて、会社の寮でも自己流でうどんを作って、みんなに振る舞っていました。そこで、うどんの評判が良く、みんな「美味しい」と食べてくれていたように思います。
ますます、のめり込むようになりました。どうしても自分でうどん屋を開業したくなり、伝手を頼って、有名なうどん職人さんに教えてもらえることになりました。
銀行を辞めて、3ケ月通いまして、師匠からうどんづくりの基礎を学ぶことが出来ました。
ーー充実していた修業時代。
その後、職業訓練校にさぬきうどん科というコースが新設されました。
私は記念すべき1期生として、そこに通うことになりました。同期には高松市内の「清水屋」の清水さん、三豊市の「SIRAKAWA」の白川さん等がおりまして、とても楽しかったです。
同期でうどん屋を開業した人が5~6人いて、印象深い思い出ばかりです。
ーー上野さんの考える「讃岐うどん」。
讃岐うどんは安くて、おいしいというのが基本です。良い素材や高価な食材を使って美味しくするというよりは、美味しい讃岐うどんをいかに安く提供出来るかだと思います。色々、うどん屋さんによって、考え方は違うと思いますけどね。
基本は「かけうどん」です。それに「しょうゆ」や「ぶっかけ」、「ざる」に「釜あげ」くらいでメニューは良いと思っています。他店さんと比較すると少ないですが、美味しいうどんを提供することに注力したいですから。
ーーうどんづくりのこだわり。
大切にしているのは塩水加減ですね。これ次第でうどんの出来が大きく変わります。当店に来店してくれるお客さんの90%は常連さんです。
ほぼ毎日、当店のうどんを楽しみにされていますので、それを裏切らないようにしないといけません。塩水加減を失敗すると、後の工程で挽回はほぼ不可能ですから。経験値でこれくらいで、こうなるというのはもちろん把握しています。ただ、毎日同じ品質にすることは本当に難しいですね。
ーー上野さんおすすめのメニューは。
「かけうどん」です。自分が「かけうどん」が好きなんですよ。
一番うどんの出来が分かりやすいと思います。醤油は丸尾醸造所さんの醤油です。自分が打ったうどんには丸尾醸造所さんの醤油が一番合うと思います。
ーー常連さん一番人気「かけうどん」。
自分が好きなメニューが常連さんも好きでいてくれるので。こんなにうれしいことはないです。
開業当初は「メニューが少ないので…もしかしたら、飽きられるかも。」という不安もありました。ですが、15年以上経て、毎日来てくださる常連さんがこれだけ多いと、自分が打ったうどんや気持ちは常連さんにしっかり届いているんだなと…毎日ホッとしています(笑)。
ーーうどんづくりで大切にしていること。
鮮度ですね。出来たてのうどんが一番美味しいに決まっています。いかに出来立てを待たせずに提供できるかですね。
常連さんが駐車場で車から降りてくるのが確認出来たら、うどんをつくりはじめます(笑)。顔を確認したら、この人は「しょうゆ」とか「かけ(大)」とか…覚えてしまっています。新鮮で打ち立て、茹でたてを早く食べて頂きたいですからね!
ーーうどん屋で大切なことは。
辛抱ですね(笑)。私は趣味でトレイルランニング(中長距離の舗装路以外を走る競技)を長くしています。走ることは苦しいですし、大会まで準備が山のようにあったり。でも、実際に大会で走るのはほんの数時間なんです。
うどん屋も同じだと思います。営業時間はあっと言う間に終わるのですが、実際は早朝からの仕込みと片付けばかりしています(笑)。辛抱して、継続することです。自分が好きで選んだ道であれば、不思議と辛抱できたんですよね。
もちろん、お客さんを第一に考えることは当たり前に大切です。
ーー継続して気づくこと。
うどん屋を15年以上していると、色々と気づくことがたくさん出てきます。
開業して4~5年はとにかく、うどんの麺ばかり力を入れていました。でも、ふとした時に出汁も大切なことに気づくんですよね。もちろん、出汁が大切なのは頭では理解していました。
ですが、経験を重ねて行きますと、自分の中に腑に落ちて入ってくる瞬間、気づく瞬間が多くなります。お客さんのこともそうですし、うどんづくりも、マラソンのことも(笑)。
ーー最後に一言。
当店は決して入りやすい、目立つ立地にあるわけではありません。
「上野製麺所のうどんが食べたい。」とならないと、お客さんには来てもらいにくい場所です。
ですが、毎日美味しいうどんを提供している自信はあります。是非、鮮度抜群の当店のうどんをお召し上がりください。お気軽にどうぞ。
上野製麺所 | |
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住所 | 〒761-8044 香川県高松市円座町2289−3 |
電話番号 | 087-886-8841 |
営業時間 | 10:30~14:00 (麺がなくなり次第終了) ※休みは第1土曜日・日曜日 |
公式サイト | https://twitter.com/uenoseimensyo?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor |
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この記事を書いた人
アユム・スカシヒット(株)一誠社http://isseisha.co.jp/
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